掘り出せ、未来を。 [旅「アジア」]
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おっさんは状況を確認すると、素早く運転席に戻りアクセルを踏んだ。ギアはバックに入っている。ウイーン!ウイーン!ランクルは4WDだ。前輪だけでも相当のパワーがあるはずだ。しかし、タイヤは力強い唸り声をあげるだけで、むなしく空転した。タイヤの下に何かかませないといけない。「リョウスケ!何か手頃な石はないか?」二人で周囲をまさぐる。ほどなく見つかったのは、産まれたての赤ん坊ぐらいの大きな石。もちろん、産まれたての赤ちゃんなんて抱いたことはないけど。石をタイヤの下にかませて、フロントにまわると「イチ、ニ、サン!」で、僕ら4人は力一杯車のバンパーを押しあげた。フロントガラス越しにおっさんの必死の形相が見える。そして「グォーン!」、大きな音とともにランクルは地獄の淵より舞い戻った。なんとかなるものだ、男5人集まれば言葉はいらない。こうして、僕らはなんとかその日中に次の町に辿り着くことができたのだった。
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2006-05-16 21:53
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