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僕らの商品は、磨き上げられているか?噺家に学ぶ。 [日常]

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こんにちは、泣語家の泣石家 霊照です。「十八番の噺 落語家が愛でる噺の話」を拝読しました。春風亭昇太師匠、桃月庵白酒師匠、柳家喬太郎師匠、立川生志師匠、林家正蔵師匠。そして気鋭の二ツ目6人。総勢11名が自ら持つオハコの話を語る1冊です。面白い切り口の本ですね。十八番の語源は歌舞伎の市川家に伝わる十八作品の得意芸で箱に入っていたことから「御箱」とも書きます。けれども、十八番の捉え方は十人十色。由来にあるように、箱に入れていたことを考えると、大事にしているつまり、簡単には人に見せないものと想像します。なのでこのテーマで書いてくださいと言われた師匠方も容易には承諾しなかったんじゃないかなと思うわけです。そもそも自分で言わないだろうなと(笑)。読み始めたらやっぱりその通りで、初っ端の昇太師匠から「十八番は自分で言うもんじゃない」と言っています。いいなあ、この流れ。噺家は一つ一つの話に対してのリスペクトが違いますよね。自分たちの商売道具である噺は磨き研ぎ澄まされ、全てが大得意の道具であると。鉋だけ得意です、と言う大工がいたら嫌ですもんねえ。それと同じですよ。

とは言いながらも、それじゃあ出版されている訳がないってんで、読み進めると各師匠方、自分なりの思い入れのある噺を解説してくれてます。中でも特に自分が食いついたのは立川生志師匠。噺は「お見立て」。この話を演るきっかけになったのが、可愛がってくれている昇太師匠の「お見立て」を観て笑い死にするかと言うぐらい笑ったからと言うからいいなあと。やっぱり惚れた人の面白い話聞かされたら自分も!となるに違いありません。この「お見立て」は、サゲでどカーンというものでは無く、杢兵衛お大臣 の訛りとそれに対する喜助のちょこちょこしたやり取りにおかしみが溢れた話で、オチに辿り着くまで息をつかせぬストーリー展開となっています。なんとい言うか、逃れられないジェットコースターかお化け屋敷に入れられて喜助が追い詰められていくと言うような感じです。強い田舎者の古くからあるイメージの中に、現代版のくすぐりをちょこちょこと入れようとする立川生志師匠のチャレンジングなところと、それを戦略的に3回入れ込む計算高さに、プロは流石だなあと思うわけでありますよ、エエ。

普段知ることのできない、噺家さんの「商品=話」への向き合い方について、とても勉強になる1冊でした。この本にご縁をくれたNさん、感謝いたします。



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