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傍観者と当事者は紙一重。 [旅「アジア」]

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ランドクルーザーはぬかるみにはまっていた。すぐ前にもう1台停まっている。僕らは外に出た。2台がロープで連結されているのを見ると、どうやら救出作業が始まるようだった。泥にはまっているランクルが勢い良くタイヤを回す。しかし、むなしく泥をかき回すだけで抜け出せない。いくら馬力があっても、こういうときは車より馬の方が有利だ。前方のランクルにエンジンがはいった。すぐにロープに緊張が走る。ガロロロ、ガロロロ。周りには車体を押す人々。十分な人がいるので僕らの出る幕はない。「オーエス!オーエス!」必死に叫ぶ彼ら。見守る僕ら。やがてランクルはその地獄の淵より救出された。拍手がわき上がり、乗客に安堵の笑顔が戻る。美しい光景だった。思いがけないドラマが終わったので車に戻ろうと後ろを振り返った瞬間、僕の目は高性能のカメラのような動きを始めた。コマ送りのような世界の中で、僕らのランクルがゆっくりと沼にはまっていく。




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