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笑う門に、二人きり。 [旅「ヨーロッパ」]

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微笑みの安売りね。アキコは嫌そうにつぶやいた。フランスのルーブル美術館。世界の名作が集まった宝物庫で、美女と呼ぶには微妙な女性がこちらを見つめて微笑んでいた。唇の曲がり具合が絶妙で、頬の筋肉が引きつってしまうのではないかと心配したが、幸い彼女は小さな絵だった。モナリザ。貴族画や宗教画がメインの時代に、初めて一般人の肖像画を描いたレオナルド・ダビンチは偉大だ。誰もが振り返るいい女とは言えないが、少しふくよかな姿は現代の若者の趣向にマッチしている。スナップ写真でさえ笑うことが苦手なアキコは、作画中ずっとステキな微笑を保ち続けたリザ夫人が苛立たしかったのだろうか。もし、夫人とダビンチが深い仲だったら不思議ではないが、それならヌードを描いて欲しい。気がつくと、既にアキコはいなかった。やれやれ、女性は難しい。麦わら帽子を手に持って彼女の後を追う。そうだ、モデルをお願いしたらどうする?と聞いてやろう。




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