見てくれ。僕が一番好きなシーンだ。

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レントンとスパッドが、イギ−ポップの小刻みなビートに乗って駆けてくるオープニングが好きだった。深く影響を受けた映画の舞台になった場所を訪れる高揚感に浸る。メッカに巡礼に参上したインド人もこんな気持ちなのか。そこから１０分ぐらいプリンスストリートを下って、ハードロックカフェに入った。飲めもしないギネスと、ハンバーガーを頼む。注文を取りにきたウェイトレスは、ローラースケートを履いていてもおかしくないぐらい、軽快なスコティッシュだった。皿を持ってきたときに、麦わら帽子がよく似合うと言ってやったが、彼女は肩をすくめただけだった。チキンがはみ出しているハンバーガーを頬張りながらローリングストーンズのジャンピング・ジャック・フラッシュに耳を傾ける。と、突然走りたくなった。心が歌う。オープニングを始めよう。

憧れの場所は、手の届く距離にあり、ギネスは半分以上残っていた。

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