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街角に氷山の一角が登場する。 [映像]

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こんにちは、泣語家の泣石家 霊照です。原宿のNORTH FACE店で開催中の石塚元太良 Glacier Diary Icy Bay展が本日最終日です。今回の展覧会はもう10年以上にわたってアラスカの氷河をモチーフに写真を撮り続ける石塚氏の最新作になります。店舗入り口には、神々しい程のラムネ色を放ちながら連なる氷塊のワイドな写真が掲げられています。店内にもいくつかの写真が掲示されていて、500部限定で発行された写真集も販売されていましたよ。元さんの写真展に行き毎回思うのが、圧倒的な自然の力、存在感。人が見ている、ましてや写真を撮っていることなど御構い無しに、当然そうなのですが、そこに「有る」というだけ感が半端ないです。無機質なのに、誇らしい、ノーブルですらある。そんな自然に出逢わせてくれる元さんの写真が好きですね。

写真集は「氷河日記」なので、これらの撮影紀行を臨場感たっぷりに知ることができます。旅の随行者としてその緊張やワクワクや、焦燥や落胆をつぶさに感じ取ることができます。元さんの文を読むと、何はともあれ魚を釣りに行き、飯盒炊飯をしたくなるのはなぜだろうか。おそらくそれは、この日記(過去の2冊も含めて)を読むと、食べるという営みが文明から切り離された生活において、いかにエンターテイメントであり、貴重な喜びの瞬間であるかを感じるからだと思います。元さんは被写体にアタックする際は自前のカヤックを使うので荷物が極端に制限されます。何日か野営をして、ポイントに到達するのですが、そこまでの食料はギリギリに制限されます。そんな中でも、いかに楽しく食事を取るか。最優先事項な気がしませんか?あ、一番はもちろん、撮影結果ですがね。

今回NORTH FACEの店舗で展覧会が実現したことには、元太良さんが同ブランドのカタログの写真も手がけているからというのが大きな理由だと思います。そのカタログで見た写真はスイスのマッターホルンだったろうか。旅に対する憧憬を掻き立てられるのは間違いない。写真家という職業と、普段写真を撮る我々との違いはどこにあるのだろうか。失礼を承知で言えば、僕らは誰しもシャッターを切れる。それこそ、写真家以上に日々多くの枚数を撮るカメラを使う方々も多いだろう。待て待てそれじゃあ、写真家は日常的にスナップを撮らないというのか。そんなことはないだろう。でも写真家は何かを撮りたいという確固たる欲求があるはずなのだと思う。日常を切り取るのではなく、それが自分に切り取られるために有ると思えるそんなモチーフ。それを見つけることができる人が写真家なのではないでしょうか。

そんなことを感じて、購入したホームレスが写るノースフェイスのパーカーを握りしめました。
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