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体当たりの謝罪に鬼が笑った。 [旅「アジア」]

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車内は今、空気より雰囲気の方が悪い。エドワルドとおっさんは、気づいているかわからなかった。意を決した僕はとりあえず電子辞書で「オナラ」を引いた。出てきた単語はブレイクウィンド。風を破るか。なるほど一理ある。こういうところからボキャブラリーは増えるのだ。ホセは英語を話さないが、日本語で言うよりはマシだった。ジェスチャーをつければ何とか言いたいことは伝わるだろう。「ホセ・・・」おそるおそる声をかける。ホセはあの顔のままこちらを向いた。僕はすかさず尻の右半分を浮かすと、右手でオナラが出ているようなジェスチャーを繰り返した。「アイ ブレイク ウィンド アイムソーソーリー」するとどうだろう。それまで鬼のようだったホセの顔がパァっと明るくなったのだ。「ノープロブレム ノープロブレム」僕の肩を抱き寄せてハグをする。それから右手で窓を開け始めた。「ノープロブレム」満面の笑みで、窓から入る砂埃を受けるホセ。




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