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耳よりな話ほど、多くの罠が待っている。 [旅「ヨーロッパ」]

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リョウスケとコベンドガーデンを歩いていると、路地脇に人だかりを見つけた。新手の大道芸かと思い、Excuse meと言いながら前方に行くと、男がゴミ箱の上に板を乗せ、忙しく手を動かしている。しばらくすると男の動きが止まった。そして、あちこちから20£札が飛んできた。これはギャンブルだった。男が動かしているのは3枚のコースター。そのうち1枚にだけ、裏面に○が書いてある。ギャラリーはシャッフルされた3枚の中から印の付いたものを当てるのだ。一口20£で当たれば倍返し。男は、コースターをくるっと回したり、空中に放り投げたり、喋りながら器用にシャッフルを繰り返す。しかし、ある程度の動体視力があれば、動きについていけないことは無い。事実、観客のときは百発百中させた。だが、なぜか賭けると当たらない。だんだんおかしいと思い始めてきた時にはもう遅い。既にリョウスケは100£以上つぎ込んでおり、後には引けない状況だった。(続く)




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