SSブログ

習慣に飼いならされたら、貧乏農場へ。 [旅「ヨーロッパ」]

スポンサードリンク





マリと同じ空気を吸いながら、ゆっくり時は流れていた。白く濁った部屋の中で、時間の感覚はとっくに麻痺している。けだるさの中で研ぎすまされた神経が、針となって壁の一点を刺し続けた。壁のシミはすぐに顔になった。感覚は細く鋭く暴走している。アムステルダムの安宿スリースター。階段で昇った3階の部屋には4つベッドがあり、窓から水路が見えた。少し前に始めた有名なカードゲームは昼も夜も無く一日中続いた。誰もあがらない永遠の遊戯。案外人生もアガリの無いゲームなのかもしれない。自分のターンで、手持ちのカードを選んで切る。受験、就職、結婚。みんなが止まるマスは赤色ゴシックでストップと書いてあった。前にも誰かが止まったマスだと思ったら、急に気持ちが悪くなった。トイレから戻ると、ゲームは終わっていた。ゴールがハッピーエンドとは限らないけど。途中で止めるなんてあんまりだ。気がつくと、部屋の隅に麦わら帽子が落ちていた。




スポンサードリンク



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。